よくある病気のいくつかをご紹介いたします。
気になる症状、あてはまっていませんか・・・?
手術に関してより詳しくご覧になりたい方は、こちらも御覧ください。
※ご注意
このページには、実際の手術の写真が掲載されています。
このような写真で気分が悪くなる方は、手術症例のページには進まないで下さい。
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元気いっぱい好奇心旺盛なわんちゃんは、散歩中やおうちの中で、ついつい何でも拾ってくわえてしまいます。やんちゃざかりの猫ちゃんは、おもちゃの紐ごと歯にひっかかって、そのまま飲み込んでしまうことも。
「ちょっとぐらいなら」「小さい物だし・・・」と思われがちですが、異物の誤食は命にかかわる大問題に発展する可能性があります。安易に大丈夫と判断せず、動物病院で相談することが大切です。
異物が消化管の中でつまってしまった場合、「食道」「胃」「腸」のどこにあるかで、症状や治療法が変わります。以下でご紹介いたします。
体格にあわないサイズのおやつ(ジャーキーや骨)、胃の入り口を通れない固い異物(種やりんごの欠片など)等が危険です。症状は、咳、吐きたそうにするけど吐けない、痛み、息が苦しい、食欲不振などがあげられます。釣り針などの尖ったものが食道を穿孔した(穴があいた)場合、重篤な呼吸困難に陥る事も考えられます。
治療法としては消化管内視鏡による異物の除去が有用です。
また、異物の刺激によって食道粘膜に傷がのこると、数日から数ヶ月後に食道狭窄(食道自体が狭く、固くなって食事が通らなくなってしまう病態)が発生することがあります。その場合の治療法としては、バルーンカテーテル(図)によって、何度かにわけて食道をひろげる治療が必要になります。
胃の中の異物も、粘膜を傷つけて胃潰瘍を起こしたり、とがった異物(串やマチ針など)は特に穿孔の原因となり、危険です。幽門(胃の出口)は非常に狭いため、そこに異物がはまりこんで完全閉塞を起こしてしまうと、重度の嘔吐を引き起こし、最悪の場合、循環不全や胃拡張によるショック、敗血症を引き起こして亡くなってしまうこともあります。
治療には消化管内視鏡による異物の摘出が最適です。小さい異物であればお薬で吐かせる処置を選ぶこともできます。しかし、大きい物や尖った異物はそれらの方法では取り出せないので、胃切開による摘出が必要です。過去にはテニスボールやぬいぐるみ、安全ピン付きブローチなどが摘出されたこともあり、大きい物でも「まさか飲み込まないだろう」という油断はできません。
十二指腸や小腸は胃よりもスペースが狭く、異物がつまってしまう可能性が高くなります。嘔吐が生じるのはもちろん、異物の刺激や腸がねじれることで血液がめぐらなくなり、腸管が壊死(くさってしまう)したり、破れて腹膜炎を起こす可能性があり非常に危険です。口から入れる胃カメラも小腸には届かないため、つまってしまった場合は腸を切る手術が必要です。
異物の閉塞部位を見分ける為には、レントゲンやエコー検査がとても大切です。血液検査で異常がある場合はより重症と考えなければいけません。疑わしい症状がある場合は動物病院を受診し、獣医師に異物の可能性をしっかりと伝えて下さい。
また、異物誤食は予防が大切です。小さい頃から道になにか落ちていても素通りできるように根気よくしつけをしましょう。拾ってしまう癖のある子は日頃から家の中の物を眼の届かないところに片付けましょう。また、留守番中はゲージに入れる、散歩中はリードを短くしたり必要に応じてカラーや口輪をつける、おなかが空きやすい子は食事回数を増やす、などの対策をとってください。
誤食を予防するのは飼い主様の大切な役目です。大事な家族のため、どうぞよろしくお願いします。
健康診断や病気で受診した際の血液検査でアルブミンが少ない、と指摘されたことはありませんか?頻繁に吐いたり下痢や軟便をしたり、似たような症状を繰り返してはいませんか?
犬の胃腸炎にはさまざまな種類があり、感染症や膵炎、異物や腫瘍の他に、自己免疫による腸炎(免疫介在性腸炎:IBD)が含まれます。
IBDとは、自分の免疫が自分の腸に対して不適切に反応してしまう、という病態で、通常の胃腸薬のみでは改善がみられないこともしばしばです。食物アレルギーが関与している、とも言われています。様々な犬種でみられますが、主に小型犬に多くヨークシャー・テリアやミニチュア・ダックスフント、トイ・プードルなどに多く認められています。
IBDの中でも「リンパ管拡張症」とよばれる病気は、体に必要な栄養素が腸管のなかにリンパ液として漏れ出てしまう困った病気です。吐き気、下痢、体重減少や食欲不振に加えて、タンパク質が漏れ出て足りなくなるため血液検査で低アルブミン血症がみられるようになります。
食事療法や胃腸薬で改善しない!繰り返し消化器症状が出る!その場合は、IBDや他の病気が隠れていないか調べるため、エコー検査や消化管内視鏡による検査が有用です。
エコー検査では腸壁の模様を確認することで、診断へのヒントを得る事ができます。エコー検査であれば、消化管内視鏡のように麻酔をせずとも検査をしてあげることが可能です。
消化管内視鏡では、胃と十二指腸の途中まで胃カメラを入れ、粘膜の荒れを画像で確認します。症状が下痢の場合は大腸を対象に検査します。また、腸粘膜の一部を採材して病理検査を実施する事が可能です。IBDや消化管腫瘍にも診断にはこのような組織を専門の病理医に診てもらう病理検査が必須です。
IBDと診断された場合はそれに見合った低脂肪食もしくはアレルギー食への変更や、抗生剤・ステロイド・免疫抑制剤・サプリやビタミン剤の使用を検討します。また、IBDは通常の単なる胃腸炎とは違って、長期の食事管理や内科治療といった繊細なケアが必要になります。
嘔吐や下痢の原因は、軽い病気から重い病気まで本当に様々です。
もし、おうちのわんちゃんが消化器症状を繰り返し、悩んでいる場合や、アルブミンが少ないと言われた場合、消化管内視鏡について相談したい場合、など、一度獣医師までご相談ください。
腎臓とは、血液をろ過し不要となった老廃物を尿として排出する役割を持つ、生きていく上で非常に大切な臓器です。年とともに悪くなりがちですが、しかし、肝臓や皮膚と違って悪くなってもなかなか治る事がありません。悪くなりすぎる前に、早めに発見し、悪化を予防していくことが大切です。
「慢性腎臓病」とは、いわゆる腎不全の総称で、「最近よく水を飲む、尿がうすくなった、毛艶が落ちた、吐き気がある」などがよくあるサインです。症状が出始めた時点で、すでに腎臓の機能の半分以上が失われている!とも言われており、診断時にはすでにかなり進行してしまっていることがあります。無症状であっても健康診断で血液検査や尿検査で腎臓の異常が発見されるケースも多く見受けられますので、日頃からの意識が早期発見に大切です。
また、「蛋白尿」が持続する腎臓病は、まとめて「蛋白漏出性腎症」と呼ばれます。とてもやっかいな病気で食事管理や、内科治療が不可欠です。蛋白尿の細かな原因については腹腔鏡を用いて腎臓の組織検査を実施することで診断をつけることもできます。基本的には、血管拡張剤(腎臓の血のめぐりをよくします)、食事療法、血圧制御などが治療方針となります。
尿素窒素、クレアチニン、カリウム、カルシウム、これらの異常が血液検査でみつかった場合は、様子をみすぎず、エコー検査、尿検査などを行いましょう。尿検査だけでも簡単に蛋白尿を調べることができます。
愛犬・愛猫たちにより長く、症状無く、快適に暮らしてもらう為、腎臓を少しでも守れるような適切な食事療法や内服薬を獣医師と相談して決めてあげてください。
胆嚢とは、肝臓で作った消化酵素液(胆汁)を一時的にためておくための袋状の臓器です。右上腹部にひとつだけあり、胆管と呼ばれる管が十二指腸につながって胆汁を排出しています。
役割が少ない割に、何かとトラブルの多い臓器のひとつであり、病気によっては時に急変があり得る怖い臓器です。胆汁にはビリルビンという体にたまってしまっては毒になる色素が含まれているので、万が一胆嚢にトラブルが生じるとビリルビンが体に蓄積する「黄疸」という病態に陥ります。黄疸が続くと胆嚢以外のあらゆる臓器にも悪影響が出て命に関わります。
「胆嚢粘液嚢腫」とは、本来はサラサラな液体であるべき胆汁が、粘液状に固まってしまう病気です。小型犬から大型犬までどの犬種でも発生しますが、特にミニチュア・シュナウザー、シェルティ、コッカー・スパニエルなどの犬種に多く診られます。甲状腺機能低下症とも関連があると言われています。
「胆石症」とは人と同様、胆嚢内にまるで石のような固まりができてしまう病気です。人ではコレステロール結晶が多数を占めますが、犬ではなぜかカルシウム結晶が多いと言われています。人では痛みで病院を受診し、胆嚢の病気が判明することが多いですが、犬はなかなか痛みをあらわさず、無症状であることも多いため発見が遅れがちです。
いずれの病気であっても、粘液や石で胆管がつまって胆汁の流れがわるくなると黄疸が生じますし、胆嚢の壁が炎症を起こして破けてしまうこと(胆嚢破裂)で腹膜炎を起こす可能性もあります。しかしながら、いざ胆管がつまってしまうまでは無症状なことも多いためやっかいです。
万が一症状がすでに出てしまった場合は、助ける為に点滴や抗生剤に加えて、胆嚢の外科的な摘出が必要です。あまりにも容態が悪い場合は胆嚢に針をさしたりドレーンを設置して胆汁を抜きとり急をしのぐ場合もあります。
たとえ無症状であってもエコー検査で重度の所見が得られた場合は、将来破裂してしまう前に予防的に胆嚢を摘出することも勧められます。
胆嚢疾患は無症状であれば、わんちゃんの見た目やしぐさ、触診で気付いてあげる事が困難です。血液検査で肝臓の数値(ALT、ALPやGGT)が高いと指摘を受けた場合は、エコー検査やレントゲン検査で肝臓と胆嚢の状況を確認することが本当にお勧めです。
言わずと知れた、膀胱の代表的疾患です。尿の中にミネラルでできた固い石が作られてしまい、血尿・頻尿・排尿痛、場合によっては、細菌感染を引き起こします。万が一、結石が尿道につまってしまう(尿閉塞)と、尿が出せず、命に関わります。
最も多い結石はストラバイトと呼ばれるマグネシウムとリンからできた石で、基本的にあらゆる犬種・猫で発生します。他にもシュウ酸カルシウムや尿酸アンモニウムなどがあげられます。
頻尿の原因が何らかの結石なのか、細菌感染なのか、もしくは膀胱の壁にポリープなど新生物があるのか、これらをはっきりさせるには尿検査とエコー検査が有用です。
もし、ストラバイトが原因であれば、食事療法で溶かす事ができる可能性がありますが、シュウ酸カルシウムによる膀胱炎であった場合、結石の外科的摘出が必要になります。ルカでは腹腔鏡を使って、最小限の膀胱切開ですむように工夫をして結石の摘出を行っています。カメラを尿道側まで挿入して吸引しながら石を探すので細かい砂状の石を取り残す可能性が限りなくゼロにちかづきます。
(実際の手術症例ページへのリンクも御覧ください。)
尿酸アンモニウムが原因であった場合は、膀胱だけでなく、肝臓の病気(門脈体循環シャントという肝臓へつながる血管の病気)が根本に隠れている可能性を考えなければなりません。また、万が一膀胱の壁に腫瘤やポリープが見つかった場合は移行上皮癌という悪性腫瘍の可能性を考えて検査をすすめていきます。
ちょっとした膀胱炎から、おもわぬ病気が見つかることもあります。健康診断に尿検査をうけていただき早めに石が見つかれば、尿閉塞や膀胱炎になる前に対処できることもあります。 ぜひ、獣医師にご相談ください。